友情結婚して婚姻契約書を作成したら公証人に「民法に抗っている」と驚かれた話

新年あけましておめでとうございます。

このたび、ようやく婚姻契約書(公正証書)を作成しました。

 

   ~これまでの あらすじ~

遡る事、2015年。当時23歳の私よ、こんにちは。

 

いろいろとありまして(省略)「恋愛向いていないし、独占欲を伴わない恋愛感情と性欲と友情の違いがわからないし、恋愛関係で人生が破綻するのは避けたいし穏かに生きたい。でも一人では生きていかれない。」と自覚した私は、恋愛関係が成立しない相手との共同生活を強く望むようになりました。

かつ、人間関係は変容するから面白いのであって、関係の継続を強制(約束)することは暴力的かつ不可能という価値観から、「いつでも別れられる関係・NOが臆せずいえる関係(自由でいられる関係)」を望み、性別年齢問わず周囲の知人に「離婚前提で結婚してくれませんか」という懇願を続けてきました。

そこで、「暇だし、いいよ。」と承諾してくれたのが、現在の夫。

重度の嫌煙家であることを除けば、突然裸で(2020/1/25追記:寒さに弱くなったため最近は着衣気味)作詞作曲して踊ったり怒ったり泣いたりする私とうまく付き合ってくれている大らかな人で、いつの間にか共同生活を始めて五年が経とうとしています。

 

≪インタビュー記事はこちらです≫

www.huffingtonpost.jp

 

 

・・・という形で、近くにいた知人をスカウトして始まった結婚生活。

当初より、「お互い不利にならないように、かつ生活のパートナーとしての関係をゆるく継続していけるように、最初から離婚条件(絶対に譲れない条件)を決めたり、一年更新制にしませんか。」と提案して同意をもらって今に至ります。

本来は、五年前のその日に作成したいと思っていた契約書だったのですが、「やると決めたら大体やるが、やり始めるまでが遅い」というだらしなさの極みといえる、我が性格が影響して、五年が経過していました(笑)

 

 

今回、今後同じように公正証書を作成したい方の参考資料になればいいなという思いから経過と結果をご報告します。

 

 

(注)契約内容の詳細については、ここでは明記しません(大枠のみ記載)

●興味ある方(友人知人限定)は自宅でプレゼンをやるので遊びに来てください

●取材依頼は、夫そして行政書士さんとの相談の上で回答します

 

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Q.そもそも婚姻契約書(公正証書)って何?

という声が聞こえてきましたので、簡単に説明しますね!(飛ばしてもいいです!)

 

A.公正証書とは、契約の成立や一定の事実について、公証人が作成する書類のこと。法務大臣より特別に任命された公証人(裁判官、検察官、弁護士が多いようです)が作成することにより、公に正しいと証明された書類「公文書」です。

夫婦間であっても、公序良俗に反しない限り、原則として、自由に契約を取り交わすことができる。つまり、法律婚事実婚同性婚を望む方(既にしている方)すべての婚姻関係に対応可能。

婚姻契約書作成の目的は、お互いの権利関係を明確にして、将来生じる可能性があるトラブルを予防することにあります。

余談:たとえば私の場合は恋愛関係にない相手なので、別れ際にそこまで泥沼的な展開にはならないと想像しつつ、想定し得るリスクを回避したい、無駄なことに時間を割きたくない(民事裁判起こしたくないし訴えられたくもない)という心理が影響しています。

だからこそ、口約束ではなく、公文書に残すことを選びました。

 

メリットは以下の通り。

・原本を公証役場に保存するため、偽造・変造・紛失のおそれがないこと。

・法律的に明確な形で公証人が作成するので、証明力が高いこと。
・一定額の金銭等の請求をすることのできる権利について、「約束を守らず、支払を怠ったときには、直ちに強制執行に服する」旨の約束条項を設けておけば、民事裁判を起こす必要はなく、直ちにその公正証書に基づいて強制執行手続を開始できる力が法律上認められていること。

≪詳細はこちらをご参考ください≫

 

 

Q.どんな流れで作成するの?

A.わりとスピーディー

①当事者である本人(あるいは委任状を託された代理人行政書士等の専門家)が文書を作成

②作成文書を公証役場に提出

③公証人が最終案作成・文書完成

④公証人の立ち合いのもと内容確認・署名捺印・公証役場に原本保管(複製を本人は受け取る)

契約に盛り込む内容が決まっていて、付属事項も問われなければ(②を済ませてしまえば)それから一か月以内には公証役場での作成が可能と思われます。

 

 

Q.お金どれくらいかかった?

 A.行政書士に対して依頼相談・作成料として5万円くらい

 公証役場に対して事務手数料として1万5000円くらい

 計 6万5000円くらいでした(夫と折半しました)

 

 

Q.あんまり珍しいことでもないような?

A.そうですそうです

調べると、需要も多くあって、行政書士による相談窓口もひらかれています。近年では、インターネットでも、婚姻契約書を作成している人を見かけるようになりました。

 

 私の記事よりもっともっと参考になる記事を貼りますね(笑)。

≪子育てについても契約書に盛り込んだ江口夫妻・尊敬≫


≪離婚経験があっての契約結婚・テンプレートつきが地味に役立つ≫

 

また、同性パートナーシップ制度を各自治体が運用し始めていますが、渋谷区と港区については公正証書等の提出を条件としていることも身近な例ですね*1。(2019年12月末時点)

渋谷区パートナーシップ証明書 | 渋谷区公式サイト

港区公式ホームページ/港区における性的指向に関する制度「(仮称)みなとマリアージュ」(素案)についてのご意見

※港区は私製の契約書(公証役場で私文書認証を受ける)でも可

 

≪余談:公正証書作成とは関係ないけど共同体としての夫婦の例として≫

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では、本筋(経過と結果報告)に戻ります! 

 

●2019年9月

・性的マイノリティの相談歴のある行政書士事務所を検索

公証人によっては、民法が定める契約、公序良俗に反する(と判断した)契約書作成そのものを拒否する場合があるので性的マイノリティに理解のある人を探しました

行政書士A氏との初回面談予約を取る

(場所はどこでも良かったので自宅に招待)

・最初同性パートナーを想像していたらしく、驚かれた(笑)

友情結婚で・・・と事前に連絡していたが説明不足だったらしい

・特にいやな反応もされず(実は結構怖かったのでホッとした)契約書類の内容を打ち合わせる

 

その時に盛り込んだ主な内容

・共有財産権の放棄(財布別)

・同居義務の放棄

・離婚条件(お互いの譲れないポイント:○○したら離婚する)

・性的関係について(不貞行為に関して損害賠償請求をしない、家庭外の性交渉可、相談の上なら第三者との生殖行為可)

 

・面談後、正式に作成依頼(相談料振り込み)

 

以降メールでやり取りした内容

・居住用不動産に居住する権限

・日常家事債務について

・任意後見について

・判断能力低下時の療養看護について

・死後事務委任について

死因贈与や祭祀主催者について

 

●11月

(忙しさを理由に私がメール返信を滞らせたため時間超過)

・上記を踏まえて、行政書士A氏が契約書案作成

・A氏が性的マイノリティに理解のある公証人を探す

・A氏よりLGBT事例経験のある公証人を紹介

・公証人の先生から、不貞行為に関する取り決め部分を含め公序良俗には反しない=問題がないと判断がくだる(私、泣いて喜ぶ)

 

 

●12月

・夫、A氏と公証役場へ行く

~持ち物~

印鑑証明書(夫が「印鑑の制度は信頼していないため、提出はしない。」と物申したため、私しばらくパニックになる笑。最終的には慣習的なものなので不要ですと公証役場から回答があり、公的機関発行の身分証のみで事足りた)

実印(同理由で、認印で事足りた)

③顔写真付き身分証明書

④手数料(1万5000円くらい)

・公証人のB先生(当日初対面)に挨拶をする

 

 

●B先生「長年公証人をしてきましたが、こういうタイプの公正証書は初めての体験です。」

 

●B先生「何の目的でこの内容にしたのか教えていただけますか。本当にこの文言でいいのですか・・・?」

 

●B先生「財産権も貞操権も放棄だし、わりと民法に抗っている内容なのですが、本当にいいのですか。」

 

 

めちゃくちゃ疑問を投げかけられ突っ込まれる(笑)

 

男女夫婦として認識されているからか、なぜ法律婚でないのか(夫が夫婦別姓が認められていないことを理由の一つとして説明)&あらためてLGBTかの確認もされる(わざわざ説明が必要なことを理解しつつもちょっと不服でござるよ)

ワイ「この契約で問題ないです!(ちょっと投げやり)」

 

・公証人による契約書の読み聞かせ(内容の最終確認)

・内容承認の上、契約書原本に当事者の署名捺印

・原本を公証役場に保管

・手数料の支払い(これにて終了)

 

 

 

 

 

感想:初対面の赤の他人に婚姻契約を音読されるのは地味に恥ずかしかった

(でもちゃっかり録音済み)

 

そうして無事手続きが終わったので、A氏と別れ(その後プライベートでも付き合いがあるので嬉しい)&夫に日頃の感謝を述べ、すがすがしい気持ちで公証役場を出たのでした。

 

案外あっさりと完成してよかったです。

以上、ご報告でした。

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五年かかったけど有言実行したので褒めてくれ

 

*1:ただし公正証書作成には結構な額がかかるため、多くの批判が寄せられたのは記憶に新しいです。それが影響しているかはわかりませんが、無料・低予算な区のほうが多い。

しかし、そもそも「パートナーであること」を公に証明するにあたり、法律婚か否か、異性婚か否かで扱い(証明に伴う負担)が変わってしまうのは本当に不公平だと感じるのは私だけではないはず・・・。