人生、添い寝にあり!

添い寝の伝承

私はひたすら柿をむいていて

御茶ノ水から水道橋に続く神田川

 

火葬後、私はひたすら柿をむいていて

【動物の死、流産死産、性暴力加害者家族の話題に触れるため読めるときに読んでもらえたら幸いです。】

 

 

 

 

短期間で多くの訃報を受ける。立て続けに流産報告が4件あり、その合間に出産間近報告が1件あって、その後すぐに7年間一緒に過ごした(最近は全然会えなくなっていた)職場の愛犬が息を引き取った。

これを書いている今、少し前に「実はパートナーが過去に流産していて、それで」と報告してきた浅い関係の男性に「誰かの体に関する重要なことをその人の同意なしに(かつその人と面識を持てず連絡もできない)私に話すのは控えてほしいのですが」と伝えて展開を遮った日のことを思い出した。今思えば彼も一つの側面では(こどもを失った)当事者であった可能性があったのに少し冷たいことをしたかもしれない。でもその話をする相手は私でなくて良かっただろうに、と苛立ちをあらわにしながら自分の中で仕切り直すのだった。

 

母が流産したとき私は9歳。1年くらい前まではあの夜を思い出すと胸が苦しくて、母と目の前の友人の泣き顔が重なって涙することもあったが、流産あるいは死産をすでに人生で二度以上経験している人が周りに増えてきた今は、彼女らが淡々と、でも深呼吸してから私にそれを語ってくれるので、私も穏やかに出会えなかった人の話ができるようになり、過去と重ねることなくあなたの喪失を受け止められている。痛みに鈍くなるというよりも覚悟に慣れるというか、予測しながら現実を見つめる力が蓄積されているというか。そして私たちには感じない権利もある。「ああ、私はたしかに傷ついていたのだ」と感じ、腑に落ちる瞬間はあなただけのものである。誰かが先回りして与えるものでは決してない。それはいつになるのだろう。だいたいの準備が整ってからとなる。

 

昨年10月はイタリアで世界精神保健デーを祝い、11月はバルセロナ空港で飛行機に乗り遅れ途方に暮れていたのが懐かしい。今年の秋の出来事についてはすべてがずっしりと重かったので、箇条書きで記録を残しておく。

 

 

・10/17,屋台を作るアナキズムな会に参加する。来年は路上であなたを祝い過ごすかもしれない

・10/18,天皇制と障害者差別に切り込んだ、改作『蝉丸』を鑑賞

・10/20,性暴力サバイバー男性支援専門の心理士からジャニーズ事務所加害者のドキュメンタリーの地上波放映について教わる。体調が大丈夫だったのでオンタイムで観た。家族が性暴力加害者だった場合に、家族としてどうする(しない)か、選択を間違え続けた姉の人生も焦点にあったように思う

・10/21,両国にて、ドイツに出張する関係者の送別会

・10/24,オランダの研究者を紹介したいと言われ、池袋で金木犀の杏仁豆腐を食べる

・10/27,和歌山からのスト客が我が家へ、いちじくさんのベッド曲に泣く、表現者としての熟れにひれ伏す

・10/29,自分の渡航経験を有料で話す。サバルタン、語り手、語り部について書かれた小松原さんの記事を思い出す

・10/31,能登、国内とガザのサバイバーたちに寄付をする。定額寄付を選ぶことで過去の自分が慰められる側面があって、それはとても不純かもしれない

・11/1,右肩と首が痺れたまま2週間経過、整形外科でレントゲンを撮る。1時間遅刻してNVCとReflectionの会に行く

・11/2,岡田さんの支援職向けセミナーに参加する。『離婚ができるようになるために、同性婚を』という話が本当に好きだし、支持している。一年更新で別れる約束ができたり、複数の親密関係の中を漂って活用できる自分は強者で、多くの人はそうじゃない。怖い思いをせずに、暴力被害に遭わずに、親しい人と離れる、縁を切るためには法制度が必要と。そして支援職はセックスワークを安易に断定しすぎ(若い女性が搾取されるイメージしか持っていない)で、多種多様な性労働の存在をもっと学ばないといけない、という指摘がある(未オペのトランス男性の稼ぎ方を紹介)。御茶ノ水から坂を下り、後楽園のラクーアで体の歪みを直すためBackpackを色違いで買う。その後に羽田空港まで徳島からやってくる仲間を迎えに行く

・11/3,レイプによる加害を告発された夫と(ほんとうに様々な事情があって)離婚できなかった女の話を聞く。職場の愛犬が息を引き取り花を添えに行く(享年15)

・11/4,重度訪問介護の外出同行で、立つことは出来ないので電動車いすを使って一人暮らししている人と物件内見に行く。転居したいのに選択肢があまりに少ない。在宅生活者なのにずっと施設のスタッフさん、と呼ばれる。退勤して火葬のあとの愛犬を偲ぶ会へ。深夜思いつきで、花園神社の先にあるスタジオに駆け出して、Sailor Honeymoonを浴びる

・11/5,自分が関わってきた団体『ありえないデモ』のハラスメント報告を仲間と共に公表する。私が行った二次加害についても記している。(立場上、私が触れてよい内容ではないという前置きの上で)被害を受けた方による声明には社会運動に関わるすべての人への重大な提言がなされていることを改めて伝えたい。反差別、反虐殺、反ハラスメントを掲げる方々に、そのためのコミュニティを持っている(作ろうとしている)皆には、ぜひ読んでほしい

・11/6,失語症者向け意思疎通支援事業の報告会に参加。同事業の他区予算案をほぼ徹夜で作成して提出したが、残念ながら次年度の交渉は不成立に終わった

・11/8,『すべて売女よりマシ』を鑑賞。トークショウでは、ヨーロッパにいる30~50代の移民(アジア圏)セックスワーカーたちの連帯についても話題に挙がった。私もスウェーデンモデル(※北欧モデルと呼ばれているが、デンマークはこのモデルを採択していない)は望まない。けれど売春者と経営者だけが処罰対象の日本で、どうすれば性的サービスの売買を行う人が守られる社会を作れるのか(犯罪や暴力被害に遭わないことはもちろんのこと、被害を受けたとしても公にできること、差別されずに治療を選択できること、加害者が罪に問われること、あるいは客が性病検査を定期的に行うことを含め)の答えには悩んでしまう。そして、家庭の中の性労働と性暴力は、いとも簡単に隠蔽されることを思う

・11/9,足利にてデンマーク・フォルケホイスコーレの公開学習会に参加

・11/10,子を産み育てながら性別移行して、生き延びるための止まり木を自ら作った方の話を聴く

・11/12,性的少数者として養育をするための陳情を作成。仲間に内容を点検してもらう

・週末は親しい人の誕生日が続く。ピクニックを提案されている。数ある遊びの中で誰かと眠りを共有することとピクニックすることが最も私の心を豊かにする

・来月頭の文フリ東京の原稿が間に合っていない