人生、添い寝にあり!

添い寝の伝承

女体を引き受けることにした(5)ミレーナが抜けなくなったので静脈麻酔が必要になった

☆前回までのあらすじ☆

ミレーナ定期検診の中で突然現れた子宮筋腫。どんな状態であれ、この身体と共に生きていくしかないという覚悟を再度固める。

ついにミレーナを装着して5年が経ち、避妊効果が薄れる時期(抜去のタイミング)に突入。まずは妊娠出産を望むかどうかを夫と話し合い、現時点では子供を持たない選択をする。

 

そうして年が明け、いよいよ再装着に挑む時が来た・・・!

 

参照)過去記事

kmnymgknunh.hatenablog.com

kmnymgknunh.hatenablog.com

kmnym.hatenadiary.jp

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「そうだ、ミレーナを交換しよう。」

 

●2020年1月下旬 渋谷の婦人科クリニックへ

 

医師にミレーナを交換したい旨を伝えるの巻・・・・

 

が!!

 

すぐには交換できず!!!

 

まずは性感染症検査が必要だったのと、生理前の装着は望ましいタイミングではないとのこと(5年前も同じことを指示だったはずだが、すっかりさっぱり忘れていた)。

 

医師「生理の直後に来てくださいね!そのほうがミレーナ装着の痛みを緩和できるからね。文献によると生理中でも装着できる*1んだけど、血まみれの海にしたくないから、生理直後でよろしくね!」

 

 

 

●同年2月上旬、再びクリニックへ

 

性感染症検査はすべて陰性!!ヨッシャ!!

 

麻酔は不要であることを確認し即ミレーナ交換をすることに。診察台でお股を開脚して、交換時の痛み(子宮頸管拡張の痛み)を覚悟して待つこと数分・・・・・

 

 

 

 

医師「あれっ?紐がない」

 

 

 

私(下半身まるだし)「紐・・・・・?」

 

 

 

あ あ、 あ の 紐 か・・・・・! 

 

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※上記画像でミレーナ本体下方に付属している「J」が紐です

 

 

私「・・・えっ!?!?!?!?!?」

 

医師「ミレーナの位置は常に正常だったんだけどねえ・・・どうしても紐だけ見つからないなぁ。本来は紐を引っ張って抜去しないとなんだけど、紐がないから抜去できませんね。強引にミレーナ丸ごと抜こうとすると尋常でないくらい痛いから。麻酔なしではもう無理ですね。

後日、麻酔ありでミレーナ丸ごと抜きましょう👍

 

 

 

そ、そんな馬鹿な・・・

計画通り・・・!

では全くない感じに・・・!

 

ちょっと痛みに耐えれば避妊効果5年ってコスパ最高だなという楽観的な考えしかなかったので、想定外の事態。しかし他に選択肢がない(5年以上ミレーナを入れっぱなしにできない)ので2月末に再予約を入れました。

 

別室に案内され、看護師さんからの説明を聞いたうえで承諾書にサインをして帰宅。

 

緊急連絡先と医療同意代理は夫の名前を借りましたが、男性出入り禁止のクリニックでもあり、当日の付き添い(麻酔後ふらつくので単身帰宅禁止)を誰に頼めばいいか大変悩ましく。。。

田舎の母親は不安にさせたくないしなー、そういや昔インターネットで『レンタルおじさん』に緊急手術の立ち会い依頼していた人いたなー気持ちわかるなー、誰にも言えず一人で子供を産んで逮捕されてしまう若い女の子ってどれだけの不安の中を耐えるしかなかったのかなーとか諸々巡ってきて、頭の中が混乱状態に(笑)

 

親友*2に相談してみたけど、彼女も乳児を預けられる状況になくて無理(その他も育児中の友人が多いのと、そこそこ面識ある人でも迷惑かなと悩んで逆に頼りづらかった)で、数日悶々としていたのだけど、それを見かねた夫が「自分がクリニック前でずっと待ってるから行っておいで。」と申し出てくれました。

 

 昨年末、婚姻契約書*3を作ったばかりで、緊急時の医療同意についても盛り込んだわけだけど、早速効力を発揮するとは・・・・

夫の気遣いのおかげで安堵でき、いよいよ当日を迎えるのでした。

 

 

 

と、その前に、

 

ミレーナ施術とデメリット/メリットを簡単におさらいしておきます。

 

 

■ミレーナ処置に関する注意事項

  

●装着時に起こり得る合併症:

痛み→失神、徐脈、てんかん発作(私は起こらなかったが)

出血など→挿入後数日は出血や下部腹痛、腰痛

 

●装着後に起こり得る合併症や副作用:

不正出血や月経異常→月経周期が不規則になることも多い。経血回数が減り、2割の人が無月経になることがある

骨盤内感染症→もともと性感染症を持っている場合にハイリスク群

子宮外妊娠→骨盤内手術や骨盤内感染症の既往がある場合にハイリスク群

自然脱落→ミレーナが適切な位置からずれて抜けてしまうことがある

子宮内迷入→ミレーナが子宮筋層内に迷い込んでしまうことがある(私の場合は糸だけ子宮筋層に迷い込んだ説w

卵巣嚢胞→放出ホルモンの影響で嚢胞ができることがある。無症状で自然消失するものの稀に骨盤痛や性交痛の原因になることがある

 

 

■ミレーナの効果や目的

 

●名称:ミレーナ(子宮内黄体ホルモン放出システム /Intrauterine system)

 

●使用目的:避妊・月経過多・月経困難症治療
※日本では2014年から治療目的での保険適用が可能になった(避妊のみの目的であれば全額自己負担。経済的に余裕がない層では避妊の権利を行使しづらい状況にある)

 →私は避妊と治療両方の目的で使用(厳格な線引きはないので、生理が重くて・・・って説明すれば保険適用になる可能性は高いと思います)

 

●避妊効果:日本で利用可能な手段の中で最も高い避妊効果(100%ではない)

最大5年間ホルモン効果(子宮内膜を薄くして妊娠成立を防ぐ効果、子宮の入口の粘液を変化させて精子の進入を防ぐ効果)が持続するため、子宮内に装着してしまえば無意識化で避妊状態が続く(ピルのように飲み忘れの心配がないし、コンドーム非完全使用/不使用の性的接触後の妊娠可能性に怯える心配がない)

性感染症予防の効果はないので、当然コンドーム使用は推奨される

 

●月経への作用:上述の通り子宮内膜が薄くなるので、剥がれ落ちる内膜(=経血)も少なくなる。経血量が減るので、生理日数も減って非常に心身快適。中には無月経になる人もいるそう

→PSMには効力はないかもしれない(私は月経前ホルモンバランス崩して感情的になってしまうことがよくあるので)

 

●値段:装着1万2000円程度/抜去3000円程度 ※保険診療で3割負担の場合

→麻酔を要する場合は追加料金あり(私のクリニックは3万円の自己負担でしたつらい)

 

●ミレーナを使えない人

ミレーナの成分に過敏症を起こしたことがある/性器癌/黄体ホルモン異常性腫瘍/未確定診断の異常性器出血/子宮の形態異常/性器感染症カンジダ症を除く)/3か月以内の性感染症の既往/子宮頚管炎や膣炎/骨盤内炎症性疾患/3ヵ月以内の分娩後子宮内膜炎や感染症流産/子宮外妊娠経験/重篤な肝障害または肝腫瘍/妊娠中/過去にミレーナ装着で失神徐脈を起こした人

5年前は未産婦お断りの婦人科も多くあったが今は改善されていることを願いたい(妊娠経験や年代問わず、避妊方法として当たり前に選択できる国もあるのだから) 

 

 

■麻酔に関する予備知識

麻酔には大きく分けて、意識のない完全に眠った状態にする麻酔(全身麻酔、静脈麻酔)と、意識はあるが痛みは感じない状態にする麻酔(脊髄くも膜下麻酔、硬膜外麻酔、伝達麻酔、局所麻酔等)とがある。

今回、私が経験するのは「静脈麻酔」であり、意識を失うタイプは人生初だったので正直とても怖かった・・・。

全身麻酔と静脈麻酔は混合されやすいが、筋弛緩状態を作るか作らないかの違いがある。無痛・意識のない眠った状態を作るという役割は一緒。

長時間かつ外科的手術が必要であれば全身麻酔だが、今回はそうでなかった(数分で終わるし切開もしない施術)。

 

 

 

施術当日のこと

当日朝から飲食禁止(2時間前までの水か茶は可)。持ち物(術後出血があった時のための夜用ナプキン、現金など)と注意事項(爪は短く、指輪などアクセサリーを外す、ヒールはNG、顔色の変化を見るためにすっぴん)を守って渋谷に降り立ちました。

自分を奮い立たせるために手持ちの中で一番高価なワンピースを着て。

もはや戦闘服(笑)

 

受付を済ませ、血圧測定。いつもは落ち着いているのに、緊張からか高血圧に・・・。看護師さんに少し笑われて、再度測定。その後あらためて施術の説明を受け、専用着に着替えて待つこと数分。

手術室へ・・・・・。

 

手術台に腰掛けて股を開く。左手側では血中酸素濃度を測ったのかな?ピッピッ・・ピッピッ・・という測定音が連続する中で、右手側に点滴開始。唾液を減少させる薬を注入した後、続けて麻酔薬を注入。

口が乾いてきましたね!あはは!ってコメントした後の記憶が全くなくて、気づいたら無事施術は終了していました。

 

目覚めた時には施術から1時間後くらい経っていたそう。

 

5年前の初装着時と比べると、出血も少なくて、痛みは全く感じなかったから肩透かし状態。麻酔の影響で若干のふらつきと気分の悪さはあるものの、自力で身支度を整えて、夫にお迎え依頼の連絡。

 

会計を済ませて、夫に支えられながらではありましたが無事電車で帰宅。その晩はすぐ横になったけど、翌日昼から普通に出勤できたという(笑)

 

 

麻酔してミレーナ装着、めっちゃ楽でした!

 

 

麻酔代自費は痛かったけど、交換時の痛みに冷や汗かいて耐える(※痛みは個人差が大きい)ということがなくてよかったな。

次回ミレーナを外すとしたら5年後の交換のタイミング(33歳時)か、妊娠を希望する時か。

その時がきたらゆっくり悩もうと思います。

 

 

 

 

5年間ミレーナと付き合ってみて

 

実は、麻酔やるくらいならお金もかかるし怖いしもうミレーナやめちゃおうかな・・・って今回一瞬悩んだのだけど、「避妊状態を自分の意思で作れる」ってことがどれだけ自己効力感を高めるか、心身の健康につながっているかを改めて思い直したのです。

 

予期せぬ妊娠に悩む人はこの社会にごまんといて、妊娠する側は産むか産まないかを選択することになる(選択できないまま時間だけが経過してしまうこともある。それは社会の責任だと私は感じている)。パートナーの有無にかかわらず、時には性暴力によって妊娠することもあったりと、各自いろいろな背景があって、それに配慮した知識や情報提供をしたり、本人の選択を助けられるよう民間団体*4が日々実践をしている。5年前と比べると、性教育の担い手になろうと自発的に活動している高校生や大学生もよく見かけるようになった。では、何がその人たちを突き動かすのか?避妊が身近な権利問題(SRHR*5)であるからである。

 

 

近年いろいろな避妊法が生まれている*6が、避妊(または妊娠中絶)は自分自身の権利なのだという意識をもっともっと広められたらと思う。性別問わず*7。個人で/パートナーとの関係性の中で、避妊/妊娠についての価値観や考え・そして選択可能な範囲は状況次第で変わっていくものだからこそ、今どうしたいか/今後どうしていきたいかについて自分自身も悩んでいきたいし、悩んでいる人と気軽に性について話せる場、情報提供できるような環境を作れるよう努力したい。

 

 

ミレーナが抜けなくなるということは計算外だったけど、ミレーナの存在には本当に救われていたんだなって改めて感じている。長いようで短い5年間だったし、また新しいミレーナと5年間を過ごしていけたらと。麻酔で意識を失っていて、過去のミレーナに別れを告げられなかったことだけが悔やまれるけれど(笑)。

 

 

以上で5年間のミレーナ体験記は終わります。

また、ミレーナに関して何か大きな変化があったら更新するかもですが、ひとまずここまでで。

  

 

5年間ご愛読いただきありがとうございました!

 

 

*1:ミレーナの説明書には月経開始後7日以内に装着と記載あり

*2:いつか任意後見人依頼予定

*3:法律婚に準じないオリジナルな婚姻契約を交わしました

kmnym.hatenadiary.jp

*4:一般社団法人全国妊娠SOSネットワーク https://zenninnet-sos.org/

にんしんSOS東京 https://nsost.jp/ など

*5:セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)https://www.joicfp.or.jp/jpn/project/advocacy/rh/

*6:えば海外で使用されはじめた避妊パッチ:birth control patchなど

今こんな署名活動も:キャンペーン · 厚生労働大臣: 日本でも女性主体の現代的避妊法を承認してください · Change.org

*7:別れた妻に無断で精子使用されて訴訟した方の記事を読んだが、男性側の生殖の権利の侵害であると私は考える