人生、添い寝にあり!

添い寝の伝承

Prego con tutto il cuore per l'anima

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6年前の8月14日。今年の8月14日。その偶然に立ち竦む。映画『イデオッツ』のストファーを思い出す。彼は「お仲間」たちと「演劇」をしながら共同生活を送っている。その表現は露悪的で差別的で品性の底が抜けている。しかし低すぎるがあまりに転じた遥か遠くで、魂の癒える土地を創ろうとしているようにも見える。「お前たちは本物か?」という、破壊衝動にも似た鋭利な問いかけ。彼の痛々しい叫びに付き合いきれなくなったお仲間たちは自然と脱退していく(ただひとりの"かわいい生き物"を除いて)。何かを取捨選択でき、忘却することができ、凡庸を演じられる者たちは、生きるに値しない社会が変わらなくてもこの地で生き残れる。しかしそれが出来ない者たちは一体どこへ行くのだろう。迷惑がられて、疎まれて、下降して、もう漂流できる体力も残っていないのに。

EXIT 2007:『イディオッツ』を高く評価する - livedoor Blog(ブログ)

"虚偽は真実と入れ替わり、虚構は現実を凌駕する。映像は表層の皮膜を突き破って、裸形のかたちを掘り当てようとする。人間は何処にいるのか。*1"

 

命を繋ぐのはいつも綱渡りみたいだ。なんとか足の裏をつける地に辿り着き、そこで一晩だけでも一緒に踊れたら良かった。渡りきれず、ずっと綱の上を往復するしかないあなたがいて、少しでもその腕にふれて手を引けば落下してしまう、そういう嵐の中を生きてきたあなたがいる。春は死なないでと約束しても、夏は跡形もなく散っていく。秋は私が生まれ、冬はあなたと添い寝した。夏だけが繰り越せない。一回きりなのだ。火が舞うように、決定的な別れと出会いだけがある。

 

Sukyeon Kim plays Liszt Liebestraum No. 3 - YouTube


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*1:故・國定陽一さんのブログ引用。私もこの映画が忘れられない。大迷惑な乱交パーティーに興じ、異物になりきって性行為を演じていたはずの若者二人が我に返る場面。それはまさに、裸形のかたちを堀り当てられてしまった瞬間、その肌に触れて身体しかそこに存在しなくなった瞬間だったはずだ。胸糞映画なんだけど、私にとってその場面が今もなお光